畳ベッドはい草の香りが清々しく、老若男女問わず人気が高いベッドです。
一段高くなっている事で、足腰が悪い方でも気軽に布団で寝る事が出来るのも魅力です。
そんな畳ベッドには、どのようなメリット・デメリットがあるのかご説明したいと思います。
畳ベッドのメリット
日本古来の畳は、い草を編み込む事で弾力性を持たせてあります。
調湿機能に優れているので、汗ばむ夏場でも肌触りはサラサラで快適になっています。
そんな畳をベッドに取り入れたのが「畳ベッド」で、
- 寝起きするのが楽
- 布団の寝心地はそのまま
- 調湿機能に優れている
- 断熱性・保温性に優れている
- ほこりを吸い込まない
- 小上がりとしても使える
- 布団の上げ下ろしが楽
と言ったメリットがあります。
1.寝起きするのが楽
高齢者になると床の高さで生活をするのは、足腰に負担がかかるので大変ですよね?
畳ベッドなら高さがあるので、高齢者や介護が必要な方でも寝起きをするのが楽です。
また介護をする側も、布団よりも高さがある畳ベッドの方がお世話をしやすくなっています。
2.布団の寝心地はそのまま
ベッドには「布団が使えるベッド」と言うものもあります。
床板が頑丈なすのこで出来ている場合には、布団で寝ても湿気にくいですし床板が破損する事もありません。
しかし畳と比べると寝心地は硬くなっています。
その点畳ベッドであれば慣れ親しんだ畳の感触そのままで、布団寝をする事が出来ます。
畳ならではの少し硬めの寝心地が好きな方には、最適なベッドとなっています。
3.調湿機能に優れている
畳はい草を編み込んで作られています。
天然素材のい草は、湿度が高い時には余分な湿気を吸収して、乾燥してくると湿気を吐き出す「調質機能」が備わっています。
そのため寝具内の湿度は安定していて、乾燥しやすい冬場でも呼吸を楽にする事が出来ます。
4.断熱性・保温性に優れている
通常のベッドは木材を使用しているので熱伝導率が高く、外気温の影響を受けやすくなっています。
しかしい草を編み込んでいる畳ベッドは、中にたくさんの空気を含んでいます。
空気を多く含む畳ベッドは熱伝導率が低いので、外気温の影響を受けにくく断熱効果・保温効果に優れています。
畳ベッドは夏は涼しく、冬は暖かいベッドと言えます。
5.ほこりを吸い込まない
床から30㎝以内の高さは「ほこりゾーン」と呼ばれていて、ダニの糞や死骸などのハウスダストがたくさん浮遊しています。
床に布団を敷いて寝ると、そのハウスダストをたくさん吸い込んでしまいます。
しかし畳ベッドであれば高さが十分あるので、喘息などの症状がある方でも安心してご使用する事が出来ます。
6.小上がりとしても使える
小上がりとは、リビングの一角に作られた少し段差のある座敷を意味します。
畳ベッドでは布団を片づける事で、床よりも一段高い「小上がり」として使う事が出来ます。
特にヘッドレスタイプで、畳表に「美草畳」を使用している畳ベッドであれば、色合いもおしゃれな空間を作る事が出来ます。
7.布団の上げ下ろしが楽
床に敷いた布団を片づける時には、腰や膝を曲げる必要があるので意外に重労働です。
しかし畳ベッドの高さであれば、ほとんど腰を屈めなくても良いので、力の弱い女性やお年寄りでも簡単に片づける事が出来ます。
畳ベッドのデメリット
このように畳ベッドには、他のベッドにはない優れた点が多くあります。
しかし使う上で注意が必要なこともあるので、ご説明したいと思います。
畳ベッドのデメリットとしては、
- ダニが繁殖しやすい
- 万年床はカビの温床に
- 汚れやすい
- 重量があるので移動・組み立てが大変
- マットレスよりも寝心地が硬い
と言った事があります。
1.ダニが繁殖しやすい
畳の中には1平方メートルあたり5万匹のダニが、そして敷布団の中には10万匹のダニが生息していると言われています。
(家の中にはこんなにたくさんのダニが!!より引用)
家に生息しているダニは主に「チリダニ」ですが、チリダニは刺したり噛んだりする事はありません。
その代わり、チリダニの死骸や糞を吸い込む事で喘息などのアレルギーを発症します。
畳ベッドでは、ダニの住処となりやすい「畳」と「敷布団」の両方を使うので、ダニ対策は必須と言えます。
ダニは布団乾燥機で退治
ダニ退治に最も効果が高いものとして、布団乾燥機があります。
ダニは50度であれば20分程度で、60度の高温であれば一瞬で死滅します。
布団乾燥機を畳と敷布団の間に入れて、30分程度使用する事でダニを根こそぎ退治する事が出来ます。
布団乾燥機を使い終わったら、掃除機で丁寧にダニの死骸を吸い取るようにして下さい。
2.万年床はカビの温床に
畳ベッドを使う時に、「ベッドだから布団は片づけないで良い」と考える人がいますが、これは間違いです。
畳表に使用されているい草は吸放湿性に優れているので、寝汗などの湿気を吸い取ってくれますが、そのまま放置するとカビが大繁殖してしまいます。
また敷布団もマットレスと違い通気性が悪いので、万年床にすると余計湿りがちな環境になってしまいます。
畳ベッドを使う時には、和室で寝るのと同様、毎日布団を片づけるようにしましょう。
3.汚れやすい
天然素材のい草は、防水性には優れていません。
飲み物などをこぼすと、中まで浸透してしまい雑菌などが繁殖しやすくなります。
畳を立てかけて陰干しする
そのため万が一飲み物を畳ベッドにこぼした時には、汚れを拭きとった後畳部分を取り外して立てかけて陰干しするようにして下さい。
この時扇風機で風を送り込むと、比較的早く中まで乾燥させる事が出来ます。
4.重量があるので移動・組み立てが大変
畳ベッドはシングルサイズで70㎏、セミダブルサイズで80㎏、ダブルサイズになると90㎏程度の重量があります。
そのため二人でも移動させたり、設置するのは大変です。
重量がある畳ベッドでは、基本的に「組立設置サービス」が選べるようになっているので、一人暮らしの方や女性が使用する場合には活用するようにしましょう。
5.マットレスよりも寝心地が硬い
マットレスは適度なクッション性と、耐圧分散性に優れているので、体にかかる荷重を分散させて心地よい眠りにつく事が出来ます。
しかし布団はマットレスと比べると、クッション性が低く耐圧分散性も出来ないので、慣れていないと腰痛などの症状が悪化する事があります。
特にせんべい布団のように薄っぺらい敷布団は、体を傷める原因になります。
寝起きなどに腰や背中が痛みを感じたら、出来るだけ早く分厚い敷布団に替えるようにして下さい。
畳表の種類から畳ベッドを選ぶ
一般的な畳ベッドは、畳表がい草で作られています。
吸放湿性に優れていて、夏場でも涼しい肌触りになっているので根強い人気があります。
しかし最近の畳ベッドでは、
- い草
- 美草畳
- クッション畳
- 洗える畳
の4種類の畳表がラインナップしています。
それぞれの特徴を把握する事で、より快適に睡眠を取れる畳ベッドを選ぶ事が出来ます。
1.い草
別名「トウシンソウ」(燈芯草)とも呼ばれているい草は、畳表として使用する際には茎の先端と根の部分はカットした中央部分のみを使います。
そんない草には、
- 抗菌効果
- リラックス効果
- 脱臭効果
が備わっています。
抗菌効果
昔の日本ではい草は「薬草」として用いられてきましたが、実際に腸管出血性大腸菌O157 、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌などの食中毒細菌、バチルス菌、ミクロコッカス菌などの腐敗細菌に対して抗菌効果がある事が分かっています。
リラックス効果
い草に含まれているフィトン・バニリンが森林浴と同等の働きをしてくれるので、畳ベッドで寝る事で心身ともにリラックスする事が出来ます。
脱臭効果
夏になると寝汗をたくさんかくので、匂いが気になる方も多いと思います。
い草には脱臭効果も備わっているので、体臭対策としてもおすすめの畳表です。
2.美草畳
い草に代わって最近人気が高まっているのが、セキスイが開発した「美草畳」を使った畳ベッドです。
耐久性に優れているポリプロピレンと、天然の風合いを醸し出す無機材料(吸湿性炭酸カルシウム)を配合して作られていて、特徴としては、
- 色褪せない
- 吸放湿性に優れている
- カビ・ダニを寄せ付けない
- 水・汚れに強い
- 豊富なカラーバリエーション
と言った事があります。
色褪せない
い草で作られた畳表は、紫外線を浴びる事で色あせてしまいますが、美草畳は色あせや毛羽立ちがほとんどありません。
耐久性にも優れているので、いつまでも新品同様の使い心地になっています。
吸放湿性に優れている
い草の畳は中にたくさんの空気を含んでいるので、吸放湿性に優れています。
美草畳でも表面に凹凸を付ける事で、余分な湿気を吸い取ってくれて、表面はいつでもサラサラと快適になっています。
カビ・ダニを寄せ付けない
美草畳は、日本アトピー協会推薦のダニ・カビの心配が少ない畳表です。
ダニの死骸や糞を吸い込む事で喘息やアトピー性皮膚炎を引き起こしますが、美草畳ならいつでも衛生的な環境で使う事が出来ます。
水・汚れに強い
い草の畳表は、飲み物をこぼすと中まで浸透してしまい、完全に綺麗にする事は出来ません。
しかし美草畳は、水や汚れに強いのでお手入れが簡単です。
豊富なカラーバリエーション
ポリプロピレンを材料としている美草畳は、グリーン以外にもブラックやブラウンと言ったカラーバリエーションがあります。
シックでモダンな和の雰囲気を出すのに最適な畳表です。
3.クッション畳
い草の畳表も弾力性はありますが、年配の方や腰痛を患っている方にとっては、少し寝心地が硬いですよね?
そんな方におすすめなのが、クッション畳です。
い草で出来た畳表の下にウレタン素材を入れる事で、クッション性を高めてあるのが特徴です。
マットレスと似たような寝心地になっているので、腰痛持ちの方におすすめです。
4.洗える畳
赤ちゃん、ペットがいるご家庭、あるいは介護用に畳ベッドを購入される方におすすめなのが「洗える畳」です。
畳表は樹脂素材になっていて下には防水シートを入れてあるので、汚れても簡単にお手入れする事が出来ます。
まとめ
畳ベッドは高さがあるのでほこりを吸いにくく、寝起きや布団の上げ下ろしがしやすいメリットがあります。
一方湿気が溜まりやすく、万年床にするとすぐにダニやカビが繁殖するデメリットがあります。
最近では、セキスイが開発した「美草畳」を畳表に使用している畳ベッドもあります。