高温多湿の日本では、湿気を放置するとすぐにカビが生えてしまいます。
ベッドも例外ではなく、寝汗が湿気となって溜まり気が付けばマットレスの裏側に黒い斑点が出てしまう事があります。
ベッドは元々欧米諸国から入ってきましたが、湿度が低い欧米ではカビの心配はほとんどありません。
しかし湿度が高い日本ではカビのリスクが付きまとうため、新たに開発されたのが「すのこベッド」です。
この記事では、カビを予防するためにはどうすれば良いか、すのこベッドにカビが生えた時の除去方法などをご紹介したいと思います。
カビが繁殖する3つの要因
カビは一つの胞子が芽を出すと、それがどんどん増えてコロニー(生物集団)を作ります。
カビの胞子単体では目に見えませんが、コロニーになると黒や赤、緑の斑点が出来るので見た目ですぐに分かります。
そしてコロニーのカビが更に胞子を吐き出すと言った悪循環に陥ります。
カビは胞子をまき散らす事で、喘息などのアレルギー症状や、夏型過敏性肺炎、気管支肺アスペルギルス症、水虫などの健康被害を引き起こします。
そのため、カビ対策を行う事は健康な生活を送るためには必須と言えます。
ではどのようなカビがどのような環境を好むかと言うと、
- 湿度が高い
- 温度が高い
- 餌がある
の3つになります。
1.湿度が高い
カビは湿度が65%以上の環境を好み、80%以上になると爆発的に増殖します。
気象庁の報告では、日本の平均湿度は、3月から11月までの8か月間で湿度65%以上になっています。
特に6月や9月は、湿度が80%を超えるのでカビが最も繁殖する季節です。
(気温・蒸気圧・湿度 – 気象庁より引用)
冬場は湿度が低いのでカビの繁殖自体は収まりますが、カビが死滅するわけではありません。
カビを予防するためには、一年を通して湿度を下げる事が最も重要になってきます。
2.温度が高い
カビは温度が20度~25度を最も好みます。
気象庁によると日本の平均温度は、6月が22.4度で9月が22.9度となっていて、梅雨や台風の季節と重なっています。
この温度は人が快適に感じる温度とほとんど変わらないので、温度管理によってカビ対策を行うのは現実的ではありません。
3.餌がある
カビの餌は、ベッドに使用されている木材や塗料、接着剤、マットレスの繊維、人のフケや垢など多岐に渡ります。
汚れが付着したベッドフレームや、寝汗を放置したマットレス、洗濯していない不潔なシーツやカバー類など全てカビの餌になってしまいます。
カビを予防するには、湿度を下げる以外にシーツ類などを小まめに洗濯する事が大切になってきます。
すのこベッドがカビに強い理由
ではカビに強いと言われているすのこベッドとは、どのようなベッドでしょうか?
すのこベッドは、床板を格子状に組み合わせて意図的に隙間を作っているベッドです。
人は寝ている間にコップ一杯分の汗をかきますが、その汗は湿気となってマットレスの裏側に溜まります。
しかし床板がすのこになっている事で、
- マットレスと床板の設置面積が減る
- マットレスの裏側から空気が入る
と言ったメリットが出てきます。
マットレスと床板の設置面積が減る
通常の床板は、マットレスの裏面と全て接触しています。
しかし隙間があるすのこベッドでは、マットレスと接触している面積が半分程度の抑えられてあります。
湿気が溜まりやすいマットレスの裏側が、空気に触れる事で通常のベッドと比べると湿気が乾燥しやすくなっています。
マットレスの裏側から空気が入る
カビは高温多湿の環境を好みますが、特に空気の循環が悪いとカビが爆発的に増殖します。
しかしすのこベッドでは、板と板の間に隙間がある事で通気性が良くなり、新鮮な空気をマットレスに取り込みやすくなっています。
すのこベッドならカビが生えない?
では、すのこベッドならカビは絶対に生えないのでしょうか?
確かに板と板の間に隙間があるすのこベッドはカビに強いですが、すのこベッドの種類によってはそれ程効果がないものもあります。
「すのこベッド」は床板がすのこになっているベッドの総称なので、その中でもフロアベッドやローベッド、ロフトベッド、二段ベッド、収納ベッドなどに分ける事が出来ます。
カビに強いすのこベッドの特徴としては、
- ベッド下にスペースがある
- フレーム枠で囲まれていない
- ベッド下に収納が付いていない
- 無垢材を使用している
があります。
ベッド下にスペースがある
フロアベッドのようにすのこを床に直置きするベッドは、ベッド下に十分なスペースがありません。
下から新鮮な空気が入りにくいですし、湿気がすぐに飽和状態になるので、湿度も高い傾向にあります。
そのため、すのこが床面に接していないベッドの方がよりカビ予防の効果が高いと言えます。
フレーム枠で囲まれていない
フロアベッドや一部のローベッド、収納ベッドは、フレーム枠で床板を囲んであります。
フレーム枠で囲まれていると、湿気が中に籠りますし新鮮な空気も入ってきません。
そのためフレーム枠で支えているベッドよりも、脚が付いているすのこベッドの方がカビ対策としては有効です。
ベッド下に収納が付いていない
機能性で考えると、収納ベッドは非常に便利です。
跳ね上げ式ベッドやチェストベッドなどは、タンス1個分の収納力を備えているので、散らかりがちな部屋もスッキリ片づける事が出来ます。
しかし床板がすのこになっていても、収納ベッドは空気の循環が悪いので、マットレスや床板にカビが生える事があります。
それ程気を使う必要はないのですが、どうしてもカビを生やしたくない方は収納ベッドは避けた方が良いでしょう。
無垢材を使用している
一般的なベッドフレームは「合板」を使用していますが、板を重ねて接着した合板は吸放湿性に劣ります。
それよりも、桐やひのきの無垢材などの方が、寝具の余分な湿気を吸収してくれるので、カビ対策には有効です。
すのこベッドにカビが生えた時の除去方法
すのこベッドを使っていても、湿度が高い季節や汚れが付着していると床板やマットレスにカビが生える事はあります。
カビを放置すると胞子を部屋中にまき散らして健康被害を引き起こすので、出来るだけ早くカビを除去するようにしましょう。
すのこベッドの床板にカビが生えた時
すのこベッドで最もカビが生えやすいのは、マットレスと床板が接触している部分です。
床板が緑色に変色しているようであれば、それは間違いなくカビなので除去するようにしましょう。
床板のカビの除去をするためには、
- ゴム手袋
- 重曹水を入れたボトルスプレー※
- 空のボトルスプレー
- 消毒用エタノール
- ティッシュペーパー
※水300mlに対して、重曹を大さじ1~2杯を入れて混ぜたもの
を準備します。
すのこベッド(床板)のカビ取り方法
床板のカビ除去方法は、
- 水で湿らせたティッシュですのこベッドのカビをこそぎ落とす
- 重曹水をカビにスプレーする
- 3分放置してから、ティッシュで叩くように拭き取る
- 消毒用エタノールをスプレーして除菌する
- 扇風機などの風を当てて床板を乾燥させる
の順番で行います。
カビは皮膚にも感染するので、必ずゴム手袋をはめてから作業を行ってください。
またカビを拭き取ったティッシュは、ビニール袋に入れて速やかに処分しましょう。
マットレスのカビ取り方法(消毒用エタノール使用)
またマットレスの裏側に黒い斑点が出来ていれば、それはカビのコロニーです。
カビのコロニーの上で睡眠を取るのは、想像するだけでも気持ちが悪いので、しっかり除菌をするようにしましょう。
マットレスのカビを除去する方法は、
- カビに消毒用エタノールやオキシドールを湿る程度つける
- 1時間ほど放置する
- ぬるま湯につけた雑巾で拭き取る
- ドライヤーで乾燥させる
となります。
ドラッグストアやAmazonでも消毒用エタノールは販売してあるのですが、気を付けてほしいのが無水エタノールを使用しない事です。
無水エタノールの方が純度が高いのですが、水分を含んでいないので殺菌効果は低くなっています。
またこの方法では黒い斑点を消す事は出来ませんが、エタノールによってしっかり滅菌出来るのでカビの悪影響はなくなります。
マットレスのカビ取り方法(カビ取りスプレー使用)
赤ちゃんや小さな子供、ペットがいるご家庭では、肌に優しいエタノールのカビ取り方法がおすすめです。
しかし、見た目に汚らしいのが嫌な方は、カビ取りスプレーを使用する方法もあります。
手順としては、
- カビ除去スプレーを黒い斑点に吹きかける
- 黒い汚れが落ちるまで待つ
- 漂白が終わったらぬるま湯につけた雑巾でしっかりと拭き取る
- ドライヤーで乾燥させる
となります。
マットレスが白色の場合には漂泊しても問題ありませんが、黒やグレーと言ったマットレスでは、カビ取りスプレーを使うと色落ちするので止めた方が良いでしょう。
またカビ除去スプレーは肌荒れの原因になるので、しっかりと雑巾で拭き取る事が大切です。
まとめ
すのこベッドは床板を格子状に組み合わせる事で、板と板の間に隙間を作り通気性を良くしています。
高温多湿の日本はカビが生えやすいですが、すのこベッドにする事である程度カビ予防に効果が期待出来ます。
しかし湿度が高い季節や皮脂汚れなどが付着しているとすのこベッドでもカビが生える事があるので、健康被害を引き起こす前に除去するようにしましょう。